歯科衛生士として働く職場を探す際、給与を重視する方も多いはずです。
特に手取りについてはよく確認しておきましょう。
ここでは「そもそも手取りとは何?」「手取りの相場が知りたい」といった方のため、手取りの基本や相場、計算方法などについて紹介します。この記事を読むことによって一般的に歯科衛生士がどの程度の手取りになるのかがわかるので、ぜひ参考にしてみてください。
手取りの金額を上げる方法についても解説します。
給料の手取りとは?
給料のベースは、基本賃金によって計算できます。働いた時間や各種手当などが含まれて総合的な給料が決まる形です。
ですが、給料からはさまざまな名目でお金が引かれます。手取りとは、給料のうち実際に自分の手元に残る金額のことです。
総支給額(額面)との違い
総支給額とは、給料のベースである基本賃金と各種手当、残業代、歩合が含まれたもののことをいいます。
基本賃金とは、各種手当を含まない基本給のことです。これに、歯科衛生士資格手当や役職手当といった手当の金額がプラスされます。
一般的に、基本給と各種手当を合わせたもののことを月給といいます。ただ、月給には、月によって変動する残業代や歩合といったものは含まれません。月給に残業と歩合を含んだ金額が総支給額です。
総支給額からは、税金や社会保険料といった各種控除額が引かれる形となります。これらを差し引いて手元に残った金額が手取りです。
ここで注意しなければならないのが、求人情報の「月給○円」は、一般的に総支給額(額面)です。ここから前述したように税金や社会保険料といったものが差し引かれ、手取りの金額が支払われることになります。
そのため、求人情報の「月給○円」が実際に手元に残る手取りだと勘違いして応募してしまうと、予定していたよりも受け取れる金額が少なくなるため、注意しましょう。
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手取り額の計算方法
手取り額は「(総支給額)-(控除額)」で計算できます。
控除は、健康保険料や介護保険料、厚生年金、雇用保険、所得税、住民税といったものが該当する形になります。実際の金額を確認する際には、給与明細を確認してみましょう。
給与明細には総支給額のほかに、控除の合計金額が書かれているはずです。これらを差し引いた金額が、差し引き支給額として掲載されており、この差し引き支給額が手取り金額となります。
一つの目安として、手取りの金額は総支給額の75%~80%前後です。
そのため、例えば「実際に手元に残るお金が20万円なければ困る」と考えているのであれば、総支給額が25万円ほどになる職場を選ばなければなりません。
注意点として、激務先によっては社員旅行積立金といった名目で給料から天引きされているケースがあります。そのため、すべての職場で総支給額の75%~80%前後の金額を手取りとして受け取れるものではありません。
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歯科衛生士の給料の手取りはいくら?
歯科衛生士は、一般的にどの程度の手取り金額になっているのでしょうか。受け取り額の相場と、給与明細の内分けについて解説します。
気になる手取り額の相場
歯科衛生士の手取り額の相場について見ていきます。
令和3年度の厚生労働省賃金構造基本統計調査によると、歯科衛生士の平均年齢は34.9歳、勤続年数が6.6年で、月収の平均は278,600円です。この75%~80%程度の金額が手取りと考えると、209,000円~223,000円あたりの手取りが相場といえます。
この金額はあくまで相場であるため、もちろん、これ以上にもらっている方もいれば、届いていない方もいます。一つの目安としてみてください。
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給与明細の内訳
給与明細を確認する際は、内訳についても確認しておきましょう。ただ、月給の内訳について記載されていないような場合もあります。
こういったケースでは、直接確認するしかありません。就職してから内訳に不満があったとしても遅いので、面接の際などに確認しておくことが求められます。
それから、控除される項目の内訳についても確認しておきましょう。
歯科衛生士が控除される項目は、一般的な会社と同様です。以下では控除について詳しく紹介します。
控除①健康保険料
国民健康保険は、ケガや病気で入院や治療が必要になってしまった場合、3割負担で治療を受けたり、病院に通ったりできる制度です。
また、医療費が高額になったようなケースでは軽減措置が受けられるほか、ケガ・病気などの理由で働けなくなった場合、手当も受け取れます。
健康保険の保険料は、会社と半額ずつ負担する形です。具体的な保険料については会社がどういった健康保険組合に加入しているかによって異なります。
注意点として、歯科医院によっては歯科医師国保に加入しているケースがあるものの、自身で国民健康保険や国民年金といったものへの加入が求められることもあります。
自身で加入する場合、会社からは徴収されません。ただし、自身で健康保険料を全額支払わなければならない形となります。
控除②厚生年金保険料
厚生年金に加入し、将来年金をもらうために必要なお金です。厚生年金制度は2種類あり、厚生年金保険に加入する場合に必要になります。
こちらも健康保険料と同様に会社と半額ずつ負担する形です。保険料は収入によって異なります。一定期間保険料を納めれば、原則65歳になると老齢年金が支給されます。
控除③雇用保険料
雇用保険に加入するために必要なお金です。雇用保険は、万が一失業してしまったような場合に失業手当を受け取るための保険です。保険率については、収入によって変わります。
控除④所得税
所得税とは、所得がある場合に支払わなければならない税金です。給料から非課税分の諸手当を除いた金額に対し、所得税がかかります。
年収が上がるほど税率も高くなる累進課税方式と呼ばれる方法で計算される税金です。
通常時は源泉徴収として一旦天引きされます。そのうえで、年末調整で正確な税額を算出し、多かった場合は戻ってくることになります。
控除⑤住民税
住民税は、1月1日時点で住んでいる都道府県や市町村に対して納める税金です。前年の年収によって金額が変わります。
歯科衛生士の手取りを上げる方法
歯科衛生士として収入を上げる方法は、実にたくさんあります。現在の収入に満足できていないのであれば、以下のような方法を試してみてはいかがでしょうか。
方法①転職
現在の職場ではこれ以上稼げないと感じているのであれば、転職も一つの選択肢になるでしょう。新たな資格を取得するなどしてスキルアップすれば、手当がついてどんどん収入が伸びていく職場もあります。
一方で、努力が収入に反映されず、どれだけ工夫や努力をしてもそうでないスタッフと給料が全く変わらないような職場があるのも事実です。
また、基本給が低い場合、少しずつ収入を伸ばして行こうと考えても時間がかかってしまいます。時期によって求人の基本給には違いがありますが、その地域の相場と比較しても給料が低いと感じているのであれば、転職についても検討する必要が出てくるでしょう。
転職する際、月給の額のみに注目すると失敗しやすいです。求人の中には基本給は低いものの、各種手当が充実しているものもあります。こういった求人を見かけた際「基本給は低いけれど、手当でそれなりにもらえるなら別に良いか」と考えてしまう方もいるはずです。
ですが、賞与に大きく影響してしまう可能性があります。一般的に、賞与は基本給の2ヶ月分です。そのため、手当が充実していても基本給が低い職場を選択した場合、基本給が高い職場と比較して賞与の金額が大幅に少なくなってしまうことがあります。
実際に、手当は充実しているものの、基本給はそれほど高くない歯科医院は珍しくありません。各種手当が充実していると得をするように感じてしまいますが、賞与の問題についてはよく理解しておきましょう。
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方法②勤続年数を伸ばす
歯科衛生士の仕事に限ったことではありませんが、多くの職場では勤続年数が長くなるほど基本給がアップします。そのため、転職を繰り返すのではなく、できるだけ長く勤めることについても検討してみましょう。
ただし、中には長年勤めていても基本給が変わらないような職場もあります。詳細については職場によって変わるので、求人票などでよく確認しておきましょう。求人票に記載されていない場合は、面接などで直接確認してみることをおすすめします。
それから、勤続年数を伸ばしていくためには、働きやすい職場であることが欠かせません。業務内容が自分に合っていない、パワハラやセクハラなどのストレスがあるといった職場で長く勤めるのは難しいでしょう。
働きやすい職場を選ぶことも重要になってくるので、気になる職場を見つけ就職について検討をする際には、長く働けるような職場なのかよく確認が必要です。
方法③実力を身につける
資格を取得するなどして実力を伸ばしていくことは、手取りをアップさせていくことにつながります。資格手当を用意している歯科医院であれば、直接的な収入アップにつながるでしょう。
さらに、その歯科医院にとってなくてはならない存在になれれば、基本給アップなどが期待できます。現在、歯科衛生士は数が不足しており、優秀な人材であれば好条件の転職もしやすいでしょう。
ですが、優秀な歯科衛生士に退職されてしまうと困ることから、給与条件などを改善することを条件にとどまって欲しいと提案される可能性もあります。歯科医院にとって求められる人材を目指すためには、院長がどういった人材を求めているのか把握することも欠かせません。
歯科衛生士としての基本的な知識やスキルを身に付けたうえで、さらに上の人材を目指していきましょう。
例えば、今まで以上に担当できる業務を増やしていくのも一つの方法です。特に、新人教育や他のスタッフの管理ができるような人材になれれば、手当なども充実していきます。
それから、歯科医院によっては、インセンティブ(歩合)給として、基本給以上の収入を目指していくことも可能です。これは、ホワイトニングなど自費診療を担当した場合、その何割かの治療費が基本給にプラスされるものをいいます。
例えば、ホワイトニングに関する技術を磨き「○○クリニックの○○さんのホワイトニングはすごい」と評判になれば、インセンティブを増やしていくことも期待できるでしょう。
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手取り金額は職場によって違いが大きい
歯科衛生士の手取り金額の相場や、手取り金額を増やしていくためにはどうすれば良いのかについて解説しました。期待できる金額や、さらに上を目指していくにはどうすれば良いかについてご理解いただけたかと思います。
相場について紹介しましたが、職場による違いが非常に大きいです。より好条件の職場で働きたいと考えているのであれば、転職についても検討してみると良いでしょう。
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監修者
長谷 麻央
株式会社ハーモニック キャリアアドバイザー
《略歴》
タレントマネージャーとして5年の経験を積んだ後、
看護師専門人材紹介コーディネーターとして13 年間務める。
2021年から現在にかけて、ハーモニックでキャリアアドバイザーとして多くの求職者に貢献中。