「歯科衛生士として頑張っているのに給料が安い」などと感じていませんか。努力が認められないと嫌になってしまいますよね。待遇を評価するときは、一般的な水準を理解しておく必要があります。この点がわからないと、給料が安いとも高いともいえないからです。この記事では、公的な資料をもとに歯科衛生士の平均的な給料を紹介しています。さらに、給料をアップするためにできる取り組みも解説しています。待遇を改善したいと考えている方は参考にしてください。
歯科衛生士の給料・ボーナスの平均
歯科衛生士の平均的な給料・ボーナスを把握できる資料として、厚生労働省が発表している「令和3年賃金構造基本統計調査」があげられます。同資料によると、企業規模計(10人以上)における「きまって支給する現金給与額」は月額278,600円、「年間賞与その他特別給与額」は523,300円です。これらを合計すると、年間の収入は3,866,500円になります。調査の対象となった歯科衛生士の平均年齢は34.9歳、平均勤続年数は6.6年です。[1]
ちなみに「令和2年賃金構造基本統計調査」では「きまって支給する現金給与額」が月額255,900円、「年間賞与その他特別給与額」が490,300円となっています(企業規模計(10人以上))。令和2年における年間の収入は3,561,100円です(平均年齢35.5歳、平均勤続年数6.5年)。令和3年の平均年収は、令和2年よりも上昇していると考えられます。[2]
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歯科衛生士の給料が安い理由
「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、歯科医師の「きまって支給する現金給与額」は584,700円、「年間賞与その他特別給与額」は856,000円、歯科技工士の「きまって支給する現金給与額」は313,700円、「年間賞与その他特別給与額」は509,000円です(企業規模計(10人以上))。歯科医師の年収は7,872,400円、歯科技工士の年収は4,273,400円になります。[3]これらの職種と比べると、歯科衛生士の給料は安いといえるでしょう。給料が安い主な原因として以下の点があげられます。
①医院への貢献度が少ない
歯科衛生士は、歯科医院などを経営するうえで欠かせない職種です。重要性は誰もが認めるところですが、歯科医師などに比べると経営面での貢献は少なくなります。算定できる診療報酬が限られているからです。したがって、給料の水準は低くなるといえるでしょう。
また、個別の給料には能力も加味されます。業務に必要な知識・スキルを身に付けていないと給料は基本的に安くなります。一部の業務を任せられないため、業務面での貢献も少なくなってしまうからです。この点は、個人の努力で改善できる可能性があります。
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②福利厚生が整っている
雇い主が、従業員やその家族の生活などを向上させるため行う取り組みを福利厚生といいます。給料・賞与以外の報酬と言い換えてもよいでしょう。福利厚生は法律で導入が義務づけられた法定福利厚生と雇い主が任意で導入する法定外福利厚生にわかれます。後者の例として、通勤手当・住宅手当・傷病見舞金・研修費用の補助などがあげられます。法定外福利厚生が充実している勤務先は、歯科衛生士の給料が安いことがあります。福利厚生の充実にもコストがかかるからです。ただし、このようなケースでは、実質的な手取りは増える傾向があります。
③医院の売上が少ない
よく似た歯科医院でも売上は異なります。売上が少ない歯科医院は、歯科衛生士の給料を改善しにくいといえるでしょう。高い給料を安定して払い続けるだけの収入がないからです。スキルを磨いても、歯科医院の売上が伸びない限り、給料を増やすことは難しいかもしれません。歯科医院の売上に大きな影響を与えているのが患者数です。多くの患者さんが訪れる歯科医院は、基本的に売上が多いと考えられます。給料が気になるときは、歯科医院の経営状態を考えることも重要です。
④給与条件が悪い
給料の条件が悪い場合も、年収を増やすことは難しくなります。代表的な例としてあげられるのが、基本給が低く抑えられていて、資格手当・役職手当・皆勤手当など、さまざまな手当が支給されているケースです。毎月の支給額はそれなりにあっても、各種手当はボーナスに反映されないため、年収は低くなってしまいます。基本給が高い場合は、過去に何カ月分のボーナスが支給されたか確認しておくことが重要です。0.5カ月分などであれば、年収に与える影響は小さくなってしまいます。
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歯科衛生士の給料が高い職場
給料の水準は勤務先で異なります。「令和3年賃金構造基本統計調査」をもとに、企業規模別に歯科衛生士の給与をまとめると次のようになります。[4]
企業規模 | きまって支給する現金給与 | 年間賞与その他特別給与額 | 合計 |
10~99人 | 278,100円 | 426,700円 | 3,763,900円 |
100~999人 | 263,100円 | 798,600円 | 3,955,800円 |
1,000人以上 | 294,300円 | 897,000円 | 4,428,600円 |
以上をもとに考えると、給料の水準は企業規模と比例するといえます。
10人以下の歯科診療所で勤務している方は参考にならないと考えたでしょう。ここからは厚生労働省が発表している「第23回(令和3年度実施)医療経済実態調査」をもとに、歯科診療所における給与水準を開設者別に紹介します。
開設者 | 平均給料年(度)額 | 賞与 | 合計 |
個人 | 2,434,312円 | 295,205円 | 2,729,517円 |
医療法人 | 2,938,931円 | 375,652円 | 3,314,583円 |
以上の資料から、個人よりも医療法人のほうが歯科衛生士の給料の水準は高いと考えられます。[5]
歯科衛生士の給料を上げる方法
歯科衛生士の給料は、取り組み次第で増やせる可能性があります。主な対策は次の通りです。
①医院の求める人材になる
現在の歯科医院などで勤務を続ける場合は、組織が求めている人材に近づくことが重要です。求められる能力などはケースで異なりますが、専門的な知識を身に付ける、スキルを磨く、接遇意識を高めるなどが考えられるでしょう。組織に対する貢献度が高くなれば、規定に従い給料を上げてもらえる可能性があります。あるいは、ボーナスに反映してもらえることも考えられるでしょう。
②できる仕事を増やす
同様に、できる仕事を増やすことも重要です。できる仕事が増えれば、責任ある立場につきやすくなります。例えば、主任になることも考えられます。役職に就くと、役職手当を支給されるケースが多いでしょう。したがって、毎月の給料を増やせます。あるいは、院内の規定に従い、手当を受け取れるスキルを身に付けてもよいでしょう。
③資格を取る
資格を取得して専門性を高めることも有効です。一定の知識・スキルを有していることの証明になるため給与アップを期待できます。歯科医院の中には、資格手当を支給などの方法で、資格取得を後押ししているところもあります。代表的な資格として、日本歯科衛生士会が認定している認定歯科衛生士、日本歯周病学会が認定している認定歯科衛生士などがあげられます。給与アップを目指したい方は、専門分野の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
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④転職する
できるだけ早く給料をアップしたい場合は、転職を検討するとよいかもしれません。この記事で紹介した通り、歯科衛生士の給料は企業規模や開設者などで異なります。つまり、よく似た仕事でも勤務先で給料は異なるのです。現状のままでも、勤務先を変えれば給料を増やせる可能性があります。転職活動を効率よく進めたい方は、歯科業界専門の転職サービスを活用するとよいしょう。専任のエージェントが、希望する条件に合致する求人を探してくれます。
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歯科衛生士の給料に不満があるときは転職を検討
この記事では、歯科衛生士の給料について解説しました。公的な資料によると平均年収は386万円程度です。給料の水準は、同じ業界で働く歯科技工士などよりも低いといえるでしょう。売上が少ない歯科医院などは、特に給料が安くなりやすいといえます。歯科衛生士の給料は、できる仕事を増やすことや資格を取得することで増える可能性があります。同様に転職も有効な方法です。勤務先で給料の水準は異なるため、転職するだけで待遇が大きく変わるケースもあります。給料にお悩みの方は、歯科業界専門の転職サービスなどで相談するとよいでしょう。
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[1][2][3][4]出典:e-Stat政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450091&tstat=000001011429
[5]出典:厚生労働省「第23回(令和3年実施)医療経済実態調査(医療機関等調査)」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/jittaityousa/23_houkoku.html
監修者
長谷 麻央
株式会社ハーモニック キャリアアドバイザー
《略歴》
タレントマネージャーとして5年の経験を積んだ後、
看護師専門人材紹介コーディネーターとして13 年間務める。
2021年から現在にかけて、ハーモニックでキャリアアドバイザーとして多くの求職者に貢献中。