「歯科衛生士として勤務している職場を辞めたい」などと感じていませんか。中には、辞めたいと感じている自分に罪悪感を抱いている方もいるでしょう。公的な資料によると、辞めたいと考えている歯科衛生士は一定の割合で存在します。したがって、自分を責める必要はありません。この記事では、辞めたいと感じている歯科衛生士の割合、辞めたいと考える主な理由、辞めたいときの対処法などを解説しています。現在の環境に不満を抱えている方は参考にしてください。
歯科衛生士を辞めたいと思う人は多い?
辞めたいと感じている歯科衛生士はどれくらいいるのでしょうか。公的な資料をもとに現状を解説します。
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就業人数と年齢
厚生労働省が発表している「衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、令和2年末の就業歯科衛生士は142,760人です。年齢階級別にみると次のようになっています。
【年齢階級別】
- 25歳未満:10.5%
- 25~29歳:13.8%
- 30~34歳:12.0%
- 34~39歳:13.3%
- 40~44歳:13.2%
- 45~49歳:13.5%
- 50~54歳:10.5%
- 55~59歳:7.4%
- 60~64歳:3.7%
- 65歳以上:2.0%
25~49歳の割合はほぼ均等といえるでしょう。 [1]
辞めたいと考えている歯科衛生士の割合
「歯科衛生士の勤務実態調査報告書(令和2年3月)」によると、転職または現在の勤務先を替えたいと考えたことがある歯科衛生士の割合は63.1%です(対象:会員16,722人)。
「歯科衛生士としての転職を現在考えている」割合は12.0%、「歯科衛生士以外の転職を現在考えている」割合は5.2%、「歯科衛生士としての転職を過去に考えたことがある」割合は31.0%、「歯科衛生士以外の転職を過去に考えたことがある」割合は14.9%です。職種を問わず現在転職を考えている割合が最も高い年代は25~29歳(27.6%)、次に高い年代は30~34歳(22.3%)、次に高い年代は35~39歳(21.2%)」となっています。この割合は25~29歳をピークに年齢とともに低下しています。
辞めたい歯科衛生士は多い
若年層を中心に、現時点で17.2%が転職を考えているため「辞めたい」と考えている歯科衛生士は多いといえるかもしれません。ちなみに、実際に勤務先をかわったことがある割合は76.4%です。かわった回数で最も多いのは21.4%の1回、次に多いのは19.6%の4回以上、次に多いのは17.8%の2回となっています。
データ活用の注意点
「歯科衛生士の勤務実態調査報告書(令和2年3月)」を参考にするうえで注意したいのが回答者の割合です。「衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」の年齢階級別でわかる通り50歳以上の割合は2割程度ですが、本調査では回答者の約5割が50歳以上となっています。[2]若年層の意見を正確に反映できていない恐れがあります。特に、モチベーションを失っている方は、質問に回答していない可能性が高いため注意が必要です。
歯科衛生士を辞めたいと思う理由
歯科衛生士はなぜ辞めたいと考えているのでしょうか。「歯科衛生士の勤務実態調査報告書(令和2年3月)」をもとに、主な理由を解説します。
関連記事「歯科衛生士はやめとけ?気になる仕事の全貌を解説」
職場環境
辞めたいと考える理由として職場環境があげられます。ここでいう職場環境は給与・待遇も含みます。職場のみにとどまらない働く環境と考えればよいでしょう。「転職を考えている・考えたことがある」と回答したもののうち38.3%が「給与・待遇の面」を理由にあげています。[3]厚生労働省が発表している「令和3年賃金構造基本統計調査」によると歯科衛生士の平均年収は387万円です[4]。努力をしても働く環境が期待しているほど改善しないため辞めたいと考える方が多いのでしょう。
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人間関係
同様に、辞めたい理由として多いのが人間関係です。「転職を考えている・考えたことがある」と回答したもののうち19.6%が「経営者との人間関係」、16.5%が「同僚との人間関係」を理由にあげています。これらを合計すると36.5%が人間関係を理由に転職を検討していることになります。[5]人間関係は職種を問わず転職理由の定番です。顔を合わせることが辛くなるため、仕事内容や待遇などに満足していても、勤務を継続しにくくなります。
仕事内容
仕事内容を理由に、辞めたいと感じる歯科衛生士も少なくありません。「転職を考えている・考えたことがある」と回答したもののうち29.6%が仕事内容を理由にあげています。ポイントは、歯科衛生士の仕事に価値を見いだしている割合が非常に高いことです。同調査の「歯科衛生士の仕事が好きですか」に対して「非常にそう思う」と回答した割合は32.5%、「まあそう思う」と回答した割合は50.7%です。 [6]歯科衛生士の仕事は好きだが、現在の仕事には満足できないと感じている方が多いのでしょう。主な理由として、専門外の仕事を任される、キャリアアップを望めないなどが考えられます。
労働時間
労働時間も辞めたいと考える主な理由のひとつです。「転職を考えている・考えたことがある」と回答したもののうち22.8%が「勤務形態・勤務時間」を理由にあげています。勤務先を実際に変更した理由で「結婚(29.3%)」「出産・育児(28.7%)」の割合が高いことから、これらのライフイベントが一定の影響を与えている可能性があります。 [7]結婚・出産・育児をきっかけに、ライフスタイルと労働時間がマッチしなくなったなどが考えられるでしょう。
歯科衛生士を辞める前の準備や計画
現在の職場や仕事が嫌でも、計画を立てずに辞めることはおすすめできません。次の勤務先を見つけるまで時間がかかったり、次の職場でも同じ問題に遭遇したりすることがあるからです。働き続ける場合は、退職後の計画を立ててから辞めましょう。
検討しておきたいポイントのひとつが新しい職場に求める条件です。この点が明らかになっていないと転職活動を効率よく進められません。なりたい自分も考えておくほうがよいでしょう。例えば、資格取得を検討している場合、取得支援制度が充実している職場が理想的です。現在の職場が充実しているのであれば、資格を取得してから転職活動を始めることも考えられます。「辞めたい」気持ちに流されず、準備をしてから行動することが重要です。
歯科衛生士を辞める際の流れ
勤務先を辞めるときは、どのような流れで手続きを進めればよいのでしょうか。基本的な流れを紹介します。
①辞めたい理由を考える
具体的な行動を起こす前に辞めたい理由を考えます。主な理由として、給与・待遇面、仕事内容、勤務時間、人間関係などがあげられます。この点を掘り下げる理由は、転職先に求める条件と結びついているからです。例えば、給与・待遇面に不満をもっている場合は現在よりも給与・待遇面の良い勤務先、仕事内容に不満をもっている場合は納得できる仕事を任せてくれる勤務先を探すことになります。不満を感じている点などを整理しましょう。
②信頼できる人に相談する
考えがまとまったら、思いを打ち明けられる人に相談します。家族や友人でも構いませんが、職場内に信頼できる先輩などがいれば相談してみることをおすすめします。現状を把握しているため悩みを理解しやすいうえ、抱えている問題にアプローチしてくれることも考えられるからです。ケースによっては、退職・転職以外の解決法を見つけられるでしょう。もちろん、すべてのケースで問題を解決できるわけではありませんが、第三者に相談することで現在の状況を客観視しやすくなります。落ち着いて考えるため重要な取り組みです。
③医院に伝える
退職・転職の意志が固まったら、直属の上司に伝えます。申入れのタイミングは、退職希望日の2~3カ月前が一般的です。法律上は申入れから2週間で退職できますが、引き継ぎなどがあるため最低でも退職希望日の1カ月前までに申入れるべきといえるでしょう。具体的な退職日は直属の上司などと相談して決めることになります。退職日が決まったら、退職届を提出します。以降は、退職日までに業務の引き継ぎを行わなければなりません。最終日に、お世話になった院長・上司・同僚などへ挨拶をして辞める手続きは完了です。
退職意思を伝える際の注意点
退職の意志を伝えるときは次の点に注意が必要です。
嘘はつかない
退職理由によっては、正直に伝えにくいことがあるでしょう。このようなケースでも嘘をつくことはおすすめできません。ちょっとしたきっかけで、嘘がばれてしまうことがあるからです。業界内で悪い噂が広まると転職しにくくなります。退職理由を正直に伝えにくいときは、言い方を工夫するとよいでしょう。例えば、仕事内容に不満を抱えている場合は「働く中で○○に興味がわきました。環境を変えて学びを深めたいと考えています」などと伝えるとよいかもしれません。
落ち着いて話をする
退職の報告で注意したいのが感情的になってしまうことです。診療所などのことを悪くいいすぎると、退職までの期間を過ごしにくくなってしまいます。上司や院長が感情的になったとしても「急に退職するといわれて困っているのだな」などと考えて冷静に対処しましょう。落ち着いて根気よく説明すれば、大抵のケースは納得してもらえます。
歯科衛生士を辞めた後の道
歯科衛生士の主な転職先は次の通りです。
【転職先】
- 診療所
- 病院
- 介護保険施設など
- 保健所
- 市町村
「衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、歯科衛生士の就業場所で最も割合が高いのは90.9%の診療所です。[8]基本的には、診療所を中心に転職先を探すことになります。診療所は小規模なところが多いため、自分で労働条件などを調べるとなると大変です。転職活動を効率よく進めたい方は、歯科業界に特化した転職サービスを活用するとよいでしょう。条件を指定して、希望に合致する求人を探せます。また、専任エージェントから非公開求人を紹介してもらうことや専任エージェントに労働条件の交渉を行ってもらうことも可能です。転職活動の質をワンランク高められる可能性があります。
こちらの記事では歯科衛生士の転職先としてはどういったところが挙げられるのか詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
関連記事「歯科衛生士はやめとけ?気になる仕事の全貌を解説」
歯科衛生士を辞めたいと感じたときは転職サービスを利用しましょう
この記事では、歯科衛生士が辞めたいと感じる理由などを解説しました。現状では、歯科衛生士の2割程度が辞めたいと感じながら働いています。主な理由は給与・待遇面、人間関係・仕事内容などです。これらの問題は、勤務先を替えると解決できることがあります。現状に不満を感じている方は、歯科業界に特化している転職サービスを活用してみてはいかがでしょうか。たくさんの求人の中から、自分に合っているものを探せます。
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[1][8]出典:厚生労働省「衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/20/dl/kekka2.pdf
[2][3][5][6][7]出典:公益社団法人日本歯科衛生士会「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」
https://www.jdha.or.jp/pdf/aboutdh/r2-dh_hokoku.pdf
[4] 出典:e-Stat政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450091&tstat=000001011429
監修者
長谷 麻央
株式会社ハーモニック キャリアアドバイザー
《略歴》
タレントマネージャーとして5年の経験を積んだ後、
看護師専門人材紹介コーディネーターとして13 年間務める。
2021年から現在にかけて、ハーモニックでキャリアアドバイザーとして多くの求職者に貢献中。