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歯科衛生士が病院勤務をするメリット・デメリットを解説

2023/07/31 歯科衛生士の方向け
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「歯科衛生士が病院勤務をするメリットやデメリットを知りたい」
「歯科衛生士が病院勤務で行う業務を知りたい」
「自分が病院勤務に向いているか知りたい」

このようにお悩みの歯科衛生士に向けて、本記事では「病院勤務のメリットやデメリット」「病院勤務の歯科衛生士の仕事内容」「病院勤務に向いている歯科衛生士の特徴」などについて解説します。

記事後半では、勤務先を選ぶ際に確認したいポイントも紹介しています。
歯科衛生士で病院勤務を検討している人はぜひ、最後までお読みください。

病院勤務の歯科衛生士は少ない

厚生労働省の「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)」によると、病院勤務の歯科衛生士の割合は非常に少なく、全体の約5%と報告されています。
もっとも割合の多い勤務先は個人の歯科医院であり、全体の90%を占めています。

そのため、病院で勤務する歯科衛生士の仕事内容やメリットなどを知らない人は多いといえるでしょう。

病院勤務の歯科衛生士の仕事

病院勤務の歯科衛生士の仕事は以下のとおりです。

  • 一般歯科治療
  • 口腔外科治療
  • 周術期等口腔機能管理

これらの仕事内容を知ると、病院勤務の歯科衛生士が行う業務がイメージできるでしょう。
口腔外科治療や周術期等口腔機能管理は、病院勤務ならではの仕事ですが、一般歯科治療も個人の歯科医院と多少異なる部分もあります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

一般的な歯科治療

病院で行われる一般的な歯科治療は以下のとおりです。

  • むし歯や歯周病の治療
  • 義歯の作成
  • 詰め物やかぶせ物の作成

これらは個人の歯科医院でも行われている内容であるため、特別な違いはないと思う人も多いのではないでしょうか。
しかし内容が同じとはいえ、病院で治療を受ける患者さんには、歯科以外の疾患をもつ方もおられます。

たとえば高血圧症や狭心症などの循環器疾患や、糖尿病や痛風などの代謝・内分泌疾患などを基礎疾患としてもつ方が少なくありません。
そのため病院での一般歯科治療において、歯科衛生士には歯科の知識以外に基礎疾患や全身管理の知識なども求められます。

口腔外科治療

口腔外科での治療は、一般歯科で対応できない症状や疾患の治療が施されます。
すなわち以下の方や疾患が対象です。

  • 抗凝固剤を服用しているが、出血を伴う処置が必要な方
  • がんをはじめとした口腔内腫瘍
  • 顎や歯の外傷・歯の欠損
  • 口蓋裂や口唇裂などの先天異常
  • 顎の変性症
  • 白板症や紅板症などの口腔粘膜疾患
  • 唾石症や唾液腺炎などの唾液腺疾患
  • 顎関節症や顎関節脱臼などの関節疾患
  • 三叉神経痛や顔面神経麻痺などの神経性疾患
  • 舌痛症や口臭症などその他の疾患

これらの症状や疾患に対して機能的な改善だけでなく、審美性を重視した精神的サポートが必要な方も多く、さまざまな方が対象となります。
見た目の悩みに対して共感し、寄り添う姿勢も求められるでしょう。

周術期等口腔機能管理

周術期等口腔機能管理とは、周術期において治療前後に口腔ケアを行うことです。
ブラッシング指導、歯面清掃、スケーリングなどがあります。

周術期等口腔機能管理は「感染リスクや口腔内のさまざまなトラブルを減らす」「コスト削減や患者さんの早期退院」などにもつながる仕事であり、たいへん重要です。
病院には歯科関連以外の疾患で手術や治療を受ける方が多く、治療後に感染を起こすリスクをおもちの方がいます。
術前より口腔内に感染部位があると、術後に口腔内細菌が体内に入り、術創部の感染や敗血症を起こすことがあります。
そのため、あらかじめ感染リスクを下げるように口腔ケアを指導するのです。

周術期の口腔ケアをしっかり行うことで、感染予防につながるのはもちろんのこと、予防による医療費削減や在院日数の短縮といったメリットももたらします。

関連記事「歯科衛生士の国家資格はどのように取る?試験の難易度や対策方法を解説

病院勤務のメリット

個人の歯科医院に勤務する歯科衛生士にとって、病院勤務にはどのようなメリットがあるのか気になる人は多いのではないでしょうか。
主なメリットは以下の4つです。

  • 年収が高い
  • 労働条件が安定している
  • さまざまな症例を経験できる
  • 衛生管理が徹底している

それぞれ解説していきます。

メリット①年収が高い傾向がある

病院勤務で得られる年収は、個人の歯科医院よりも高い傾向があります。

令和3年の第23回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告によると、一般病院勤務の歯科衛生士の平均給料年額は297万円、賞与が78万円で年収375万円との結果でした。
一方個人の歯科医院では平均給料年額が275万円、賞与が35万円で年収は310万円と報告されています。

両者を比較すると年収で65万円もの差があるとわかります。
昇給を考慮せずそれぞれ20年間勤務した場合を比較すると、両者には1,300万円もの差が生じるのです。

メリット②労働条件が安定している

病院では労働条件が安定しています。
以下を見てみましょう。

  • 福利厚生
  • 休日
  • 勤務時間

福利厚生は法律で義務付けられている「法定福利厚生」と、病院で任意に導入されている「法定外福利厚生」があります。
規模の大きい病院では法定外福利厚生が充実している傾向にあり、住宅手当や資格取得にかかる費用の支援、社員旅行などさまざまな恩恵を受けられます。

休日も土日・祝日は休みの勤務先が多く、友人や家族との時間を優先したい人にはおすすめです。

勤務時間においては、17時頃に退勤できる病院も中にはあります。
ワークライフバランスが整い、充実したプライベートを確保できるでしょう。

メリット③さまざまな症例を経験できる

病院勤務では、個人の歯科医院よりも多様な症例を経験できる傾向にあります。
対応がむずかしい症例は大きな病院へ紹介されるため、治療に難渋することもありますが、その分学びは大きいでしょう。

歯科領域にとどまらず、内科や外科の知識も幅広く学べるため、スキルアップできる機会に恵まれています。

メリット④衛生管理が徹底している

滅菌処理をはじめとした衛生管理はコストが高くなる傾向にあり、個人の歯科医院でできることには限界があります。
歯科医院が衛生管理を徹底していないというわけではありませんが、病院の方が衛生面に関しては徹底しやすい環境ではあるでしょう。

病院勤務のデメリット

病院勤務にはデメリットもあります。
病院勤務を検討している歯科衛生士は、デメリットも知っておくことで転職の選択肢が広がるでしょう。
デメリットは以下のとおりです。

  • 新人は雑務が多い
  • 仕事の自由度が低い
  • 勉強することが多い

それぞれ解説していきます。

デメリット①新人は雑務が多い

病院には、個人の歯科医院よりも歯科衛生士の数が多く、ベテランも多く在籍していることがあります。
そのため、新人は患者対応を任せてもらえず、はじめは雑務が多いこともあるでしょう。
器具の準備や洗浄などが多く、症例を通したスキルアップには時間がかかる場合があります。

デメリット②自由度が低い

個人の歯科医院では規模が小さい分スタッフ間の距離が近く、歯科医師と気兼ねなく接しやすい環境でもあります。
そのため、医院の方針へ意見を言ったり自分がチャレンジしたい業務について希望を述べたりといったことがしやすいでしょう。

一方病院では、歯科や口腔外科といった診療科に所属して病院全体の経営方針にしたがって働く必要があります。
そのため、自身の意見を通したり、希望する業務をすぐに任せてもらったりすることは難しいといえます。

デメリット③勉強することが多い

さまざまな症例に対応できるようになるためには、相応の知識や技術を身に付ける必要があります。
そのため、個人の歯科医院よりも幅広い分野の勉強をする姿勢が求められます。

意欲が高い人は興味深く学べると思いますが、勉強が苦手だったり、嫌いだったりする人には苦痛かもしれません。

関連記事「歯科衛生士の仕事は大変?働いて感じる悩みも紹介

病院勤務が向いている人

以下の特徴をもっている歯科衛生士は、病院勤務に向いているといえます。

  • スキルアップしたい
  • 年収を上げたい
  • 多くの人とかかわりたい

それぞれ解説していきます。

スキルアップがしたい人

先述したとおり、病院勤務では個人の歯科医院であまり経験できない症例とかかわる機会があります。
最先端の知識や技術を得られるため、スキルアップしたいと考えている人には病院勤務が向いているでしょう。

たとえば脳梗塞後遺症の方の口腔ケアひとつをとっても、細心の注意を払わなければなりません。
抗凝固剤を服用している方が多く、わずかな傷でも多量に出血してしまう危険性があるからです。
個人の歯科医院でも同様の患者さんは来院されるものの、病院の歯科ではほかにもさまざまな疾患を合併している方が多く、より卓越した技術や知識を身に付ける必要性が高いのです。

多くの経験を積んでよりスキルアップしたいのであれば、病院勤務をおすすめします。

年収を上げたい人

病院勤務では給与や賞与が高く、個人の歯科医院よりも年収が上がりやすいでしょう。
さらに昇給額も高い傾向であるため、長期的に見るとより年収の差は顕著になります。
金銭面を優先したい人は、病院勤務の方がよいでしょう。

多くの人とかかわりたい

多くの人とかかわりたいと思うのであれば、病院勤務がよいでしょう。
患者さんとスタッフそれぞれの面から解説します。

まず患者さんとのかかわりからは、さまざまな知識や技術が習得でき、スキルアップにつながります。
そしてスタッフとのかかわりにおいては、多くの診療科がある病院ならではの理由があります。
歯科以外のスタッフともかかわるため、多職種での連携が求められるでしょう。
チームで業務を行うため、患者対応とは異なる経験や学びを得られると考えられます。

多くの人とかかわり視野を広げていきたい人は、病院勤務が向いているでしょう。

歯科医院・病院以外の勤務先

歯科医院と病院で働く歯科衛生士の割合は全体の約95%ですから、他にどのようなところで働けるのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
歯科衛生士の約5%が働いている勤務先は以下のとおりです。

  • 介護施設
  • 保健所・保健センター
  • 歯科衛生士学校

これらの勤務先でも歯科衛生士の需要はあるため、どのような働き方ができるのか知っておくことで、転職の選択肢が増えるでしょう。

介護施設

介護施設とは以下の施設を指し、高齢者の口腔機能に関する業務が中心となります。

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院
  • 居宅介護支援事業所

口腔機能に関する業務としては、ブラッシング指導、口腔内洗浄、唾液の分泌を促すマッサージ、口腔体操などがあります。

高齢者は嚥下機能が低下しやすく、誤嚥する方が少なくありません。
口腔内の細菌が多い方もおられ、誤嚥により細菌が気管に流れることで誤嚥性肺炎になってしまいます。

介護施設の歯科衛生士には、高齢者の口腔内細菌を除去し清潔な状態を保つとともに、安全に食事を摂取できる口腔内環境を整えることが求められます。

また、施設の介護職員へ口腔ケアの介助指導を行うといった重要な役割も担うため、大きな活躍が期待できるでしょう。

保健所・保健センター

保健所・保健センターなどの行政関連では、母子保健事業へのかかわりが主となります。
すなわち、お子さんの歯科検診や母子を対象とした歯磨き教室などがあります。

行政職員は公務員となるため、病院と比較して勤務時間や休日が明確です。
8:30~17:30の勤務で定時退勤、土日祝日が休みの場合が多いでしょう。
初任給こそ低いものの、医療機関よりも昇給や福利厚生がしっかりしているため、生涯年収も高くなる傾向にあります。

一方で、勤務形態は正社員もしくは業務委託となることが多く、パートのように「週3日勤務」といった働き方はしづらいことを知っておきましょう。

歯科衛生士学校

歯科衛生士学校の教員になるためには教員免許は不要で、歯科衛生士の資格があれば可能です。
また、常勤に限らず非常勤での働き方もできるため、家庭と両立しやすいメリットがあります。
学生に正しい知識や技術・職種の倫理など、教えることが多いため責任の大きい仕事ですが、人に教えることが好きな人はやりがいを感じるでしょう。
ある程度の臨床経験を積んで、知識やスキルが身に付いたらチャレンジしてみるのもひとつです。

注意点として、歯科衛生士の求人はあまり多くないことを知っておきましょう。
理由は以下のとおりです。

  • 歯科衛生士の学校自体が多くない
  • 教員の離職率が低い
  • 人脈や関係者のネットワークで採用されることが多い

これらの理由により募集を見つけにくいため、すぐに希望の勤務先が見つからないのです。
どうしても教員の仕事をしたいのであれば、卒業校の教員や知り合いなどをとおして、教員の仕事がしたい旨を伝えておくとよいでしょう。

勤務先を選ぶ際に確認したいポイント

勤務先を選ぶ際に確認したいポイントを解説します。
以下について押さえておけば、勤務先選びを失敗せずにすむでしょう。

  • 年収
  • 院長
  • 勤務地
  • 勤務時間・休日
  • 社会保険の有無

ポイント①年収

まず、年収を上げたい人は給与や賞与が高い勤務先を選びましょう。
ただし、勤務時間や休日がどの程度か確認しておくことをおすすめします。

勤務時間が長いうえに休日が少ない勤務先では、年収が多いわりに実働時間に対するコストパフォーマンスが下がるからです。

ポイント②院長

個人の歯科医院では、院長の人柄や付き合いやすさを重視しておくとよいでしょう。
スタッフ間の距離が近いため、何かと接することが多いからです。
付き合いにくさがそのまま仕事のしづらさにつながる可能性がありますので、注意しましょう。

一方で大きな病院では、院長と接する機会は少ないかもしれませんが、理念や経営方針は院長の考え方ともいえます。
院長の理念や経営方針に賛同できるか否かで勤務先を選ぶのもポイントです。

ポイント③勤務地

勤務地を優先すべき理由は、交通費や通勤時間を少なくするためです。
公共の交通機関では定期券代がかかりますし、自家用車ではガソリン代も負担になります。
距離が近く徒歩で通勤できる勤務地であれば、交通費もかかりませんし、健康にもよく一石二鳥です。

しかし、勤務地が近すぎることで仕事とプライベートのすみ分けが難しいと感じる人も中にはいるでしょう。
そのような人は「自宅と勤務先の距離は近くとも1キロメートル以内」といったように、条件を設けておくとよいでしょう。

ポイント④勤務時間・休日

勤務時間や休日も重視しておきたいポイントです。
これらを重視しておくと、以下のようなメリットがあります。

  • 身体的・精神的な健康を保ちやすい
  • ワークライフバランスが充実しやすい
  • 給料のコストパフォーマンスが良い

残業が少なく、休日が土日・祝日などしっかり確保できている職場に勤務すると、仕事とプライベートのメリハリがつきやすくなります。
結果的に身体的・精神的な健康を保て、仕事とプライベート双方が充実しやすくなるのです。
また、必要以上に勤務先から拘束されないため、実働時間に対する給料のコストパフォーマンスが高くなるでしょう。

ポイント⑤社会保険の有無

社会保険の有無もよく確認しておきましょう。
社会保険とは主に以下を指します。

  • 健康保険
  • 厚生年金
  • 雇用保険
  • 労災保険

健康保険に加入すれば出産や傷病に関する手当が充実し、厚生年金に加入すれば将来の年金額が多くもらえることが大きなメリットです。

上記4つにすべて加入している勤務先では「社会保険完備」と求人表に記載されています。しかし、小規模(従業員が5名に満たない)の個人医院は健康保険と厚生年金の加入義務がありません。
社会保険完備でない個人の歯科医院では上記の恩恵を受けられないため、将来の年金をより多く受給したい人や、出産予定がある人などはできるだけ社会保険が充実している勤務先を選びましょう。

社会保険完備でなくとも国民健康保険や国民年金の制度があるため、給与さえ高ければあまり問題はありません。
しかし給与が低いうえに社会保険完備でない勤務先は損をするばかりですので、できるだけ避けた方がよいでしょう。

メリットとデメリットをしっかり把握して転職を決めよう

歯科衛生士が病院勤務を検討する際、メリット・デメリットを把握しておくことが重要です。
個々人によって優先するポイントは異なるため「どういった目的で病院勤務を選ぶのか」を明確にし、メリット・デメリット双方から判断するとよいでしょう。

ハモNAVIでは、歯科業界に熟達したスタッフがフォローアップして転職をサポートいたします。
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監修者

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長谷 麻央

株式会社ハーモニック キャリアアドバイザー

《略歴》

タレントマネージャーとして5年の経験を積んだ後、
看護師専門人材紹介コーディネーターとして13 年間務める。

2021年から現在にかけて、ハーモニックでキャリアアドバイザーとして多くの求職者に貢献中。