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歯科医院が抱える経営上の悩みと解決案を解説

2023/10/30 歯科衛生士の方向け
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歯の健康維持には欠かせない歯科医院ですが、経営の観点で見ると、年々厳しさを増しています。
今後、安定的に歯科医院の経営を続けるには、問題を正確に把握したうえで、適切な対策を講じなければなりません。

そこで本記事では、歯科医院が抱える経営上の悩みと解決案を解説します。
経営上の悩みを解決して、より健全な歯科医院の経営を目指したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

歯科医院の現状とは

歯科医院経営を取り巻く状況は、徐々に悪化しつつあります。

厚生労働省の医療施設調査によれば、歯科医院の数は2015年の68,737施設をピークに、8年間で2.1%の小幅減少です。
この背景には、少産多死化による日本の総人口数の減少と、それにともなう患者数の減少、歯科医院同士の競争激化による廃業率の増加が要因として考えられます。

しかし、減ったとはいえ、歯科医院の総数は2023年5月時点で67,281施設と、国内に出店しているコンビニエンスストアの総店舗数を上回っています。
人口も同じテンポで減少しているため、歯科医院数の飽和状態は解消されないままであり、先行きも漸減傾向が続く見込みです。

参照元:厚生労働省「医療施設調査」

歯科医院が抱える経営上の悩みとは

上記の要因から、歯科医院は多くの経営課題に直面し、苦悩しています。
ここからは、歯科医院が抱える代表的な4つの悩みを解説します。

集客の悩み

前項でもお伝えしましたが、歯科医院の数は、慢性的な飽和状態にあり、近隣エリアに競合の歯科医院が多いほど、集客には苦戦を強いられます。
くわえて、患者数全体の減少が拍車をかけ、集客の難しさは増すばかりです。

こうした状況下では、チラシやインターネットで広告を出したとしても、自院の強みや、魅力的な料金プランなどを提示できなければ、思うような集客効果は得られないでしょう。

とはいえ、歯科医院では、院長が経営を担っているケースが多く、医療技術はあるものの、病院経営のプロという方ばかりではありません。
集客がうまくいかないのも致し方ない面はあるのです。

コスト構造に関する悩み

歯科医院のコスト構造は、固定費の割合が高いので、医院を経営する際にかかる経費の調整が難しい傾向にあります。
固定費とは、売上の額にかかわらず、毎月一定額発生する費用のことで、歯科医院では主に以下の固定費が発生します。

歯科医院で発生する固定費の一覧

  • 人件費
  • 家賃
  • 水光熱費
  • 機材のリース料
  • 広告宣伝費

歯科医院では、治療にかかる材料代や薬品代、技工料を除く、ほぼすべての経費が固定費に分類され、経費の削減が容易ではありません。
そのため、利益率を上げるには、患者数や売上の増加が不可欠なのです。

人材不足に対する悩み

歯科医院において、人材確保は大きな悩みの種といえるでしょう。
歯科医療の業界では慢性的な人材不足が続いており、20の歯科医院で1人の人材を取り合っている状況といわれます。

このような背景から、求人広告を出しても、思うような人材が確保できずに人材不足に陥るケースは少なくありません。
このままでは、患者様が満足できる水準の治療やサービスを提供できなくなるおそれがあります。

人材不足を避けるためにも、成果が得られる方法を見極めて、求人広告を出しつつ、採用した従業員が離職しないよう、働きやすい環境を整えるなど、定着率を高める施策が必要です。

スタッフ間の人間関係に関する悩み

人材不足の悩みに付随して、院内のスタッフ同士が良好な人間関係を築けないために、頭を抱える経営者も多いです。

というのも、スタッフが退職する理由には、必ずと言っていいほど、「人間関係の悪さ」が挙がってきます。
もし、スタッフ間で嫌みや陰口が横行しているような場合には、要注意です。
これまで普通に働いていたスタッフから、突然、退職の意思を申告されるケースも十分に考えられます。

歯科医院の経営を円滑に行うにあたって、良好な人間関係の構築は、気を配りたいポイントの一つです。

関連記事「歯科医院が抱える経営上の悩みと解決案を解説

歯科医院が経営難になる理由

歯科医院が経営難に陥る理由としては、「収支」と「人材」の2つの理由が挙げられます。
ここからは、歯科医院が経営難に陥る具体的な理由を解説します。

理由①収支の問題

経営難の原因が収支の場合、「売上が少ないパターン」と、「経費がかかりすぎているパターン」の2つのパターンが考えられます。

まず一つめの、「そもそも売上が少ない」パターンですが、来院する患者様の数が少なければ、それだけ売上高が低くなり、経営難に陥りやすくなります。
自院で行っている治療やサービスのクオリティを確認したり、集客方法を見直したりするなどの改善が必要です。

次に、「経費がかかりすぎている」パターンです。
たとえ十分な売上があるとしても、経費が必要以上にかかっているようでは、利益が残せないので、経営は必然的に苦しくなります。
歯科医院の経費は調整しにくいものですが、それでも定期的に費用の内訳を確認し、無駄な出費がないかを確かめたいところです。

具体的な経費の見直し方については、後述いたします。

理由②人材不足の問題

人材不足も、経営難になる要因の一つです。
人手が足りないために、歯科医院の運営が立ち行かなくなることは大いにあり得ますし、求人広告を出したからといって、希望する人材がすぐに集まるとは限りません。

さらに、歯科医院で働くスタッフには女性が多いので、結婚や出産などのライフイベントをきっかけに、退職する方もいらっしゃいます。

人材流出は歯科医院の経営存続に直結する問題です。
これを防ぐには、求人広告を出すだけでなく、働きやすい環境づくりや、産休明けに復帰しやすい仕組みを作るなどの、離職率の低下を図る工夫が必須です。

歯科医院が抱える悩みの解決方法

ここからは、歯科医院で実際に起こりがちな経営上の問題に対する具体的な解決方法を紹介します。
ぜひ、お悩みの解決にお役立てください。

方法①集客方法に工夫を凝らす

歯科医院が集客を考える際には、まず、「他院と差別化できるポイント」を明確にしたいところです。

例として、診療内容や料金に違いのないAとB、2つの歯科医院があったとしましょう。
立地以外に違いがなかったとしたら、「AとBの歯科医院があるけど、家から近いのでAに行こう」と考える方が多そうですよね?
つまり、集客を成功させるには、「家から遠いBの歯科医院までわざわざ通う理由」の提示が不可欠なのです。

差別化できるポイントを見つけるには、ご自身の歯科医院の強みや個性を探るところから始めてみてください。
経営者だけで考えるのではなく、スタッフを集めてミーティングをすれば、思わぬ視点からアイディアが得られるかもしれないので、おすすめです。

差別化できるポイントが見つかったら、それをもとに宣伝文句を考えつつ、集客を始めます。
歯科医院が実施できる集客方法として、以下の4つが挙げられます。

歯科医院が実施できる集客方法

  • ホームページ作成
  • チラシの配布
  • 看板の掲示
  • SNSによる拡散

チラシや看板といった従来の広告媒体にくわえ、インターネットも活用して、できるだけ多くの方の目に触れるように宣伝するのが大切です。

方法②無駄な経費を見直す

経営が悪化している歯科医院では、必要以上に経費がかかりすぎているケースが多く見られます。

以下の表は、中央社会保険医療協議会が提示した資料より抜粋した「歯科医院の経費の平均値」です。
この表を参考に、ご自身の歯科医院の経費に問題がないか、今一度確認してみましょう。

歯科医院でかかる経費の平均値

費用項目 経費の割合
給与費 29.2%
医薬品費 1.0%
歯科材料費 7.8%
委託費 7.9%
減価償却費 6.0%
機材リース費等、その他の医療費用 18.9%

 

人件費(給与費)は、費用のなかでも大きな割合を占めています。
ここの削減に成功すれば、大幅な経費の改善が望めるものの、安易な人件費の削減は危険です。
減給や解雇を実施すると、スタッフ全体の士気を下げかねないうえに、労基法に抵触する可能性があります。
そもそも、給与を削りすぎて人材流出を招いては元も子もありません。

経費の削減は、トラブルが起きないよう、無駄な電力を使わないなど、無理のない範囲から着手しましょう。

参照元:中央社会保険医療協議会「第23回医療経済実態調査 (医療機関等調査)報告 」

方法➂人材育成を促す仕組みを作る

人材を雇ううえで、歯科医院の本音を言えば「優秀な即戦力が欲しい」ではありませんか?

しかし、すでに知識も技術も備えている優秀な人材を確保できるケースはまれなので、効率的に人材を育成できる仕組みを構築し、早期に戦力化していく体制を整えるのが重要です。

そこで、以下に、人材育成に効果のある施策をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

人材育成を促す施策の一例

  • 新人教育担当者を配置する
  • 昇給基準を明確にする
  • 院内表彰制度を取り入れる

新人教育担当者を配置すれば、新人スタッフに対してきめ細かい指導ができるだけでなく、身近な相談者として、心理的なケアも任せることができます。
また、昇給や院内表彰制度は、スタッフのモチベーションアップに効果的です。

このような施策や工夫を凝らし、スタッフが仕事にやりがいを感じられ、成長できる職場環境を整えることが、現状の歯科医院には急務だといえます。

歯科医院の悩みを解決して健全な経営を目指そう

いかがでしたでしょうか?

歯科医院を取り巻く状況は、年々厳しくなっており、経営者の悩みは尽きません。
歯科医院が、安定的に経営を続けるには、集客とあわせて、人材確保も急務です。
自院のスタッフが不足すれば、普段の運営が行えなくなり、従業員だけでなく患者様にも多大な迷惑がかかります。
そのため、必要なスタッフ数を揃えて、健全な経営を行いたいところです。

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監修者

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長谷麻央

株式会社ハーモニック キャリアアドバイザー

《略歴》

タレントマネージャーとして5年の経験を積んだ後、
看護師専門人材紹介コーディネーターとして13 年間務める。

2021年から現在にかけて、ハーモニックでキャリアアドバイザーとして多くの求職者に貢献中