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歯科医院では厚生年金などの社会保険が完備されているのか?

2023/10/30 歯科衛生士の方向け
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歯科衛生士を目指して就職・転職活動をされている方のなかには、歯科医院の福利厚生制度を気にされている方もいらっしゃるでしょう。
特に、社会保険への加入状況は確認しておきたいところです。

本記事では、歯科医院における厚生年金や健康保険などの社会保険の加入条件を解説するとともに、社会保険に加入するメリット・デメリットも紹介します。
歯科業界で活躍したい方は、最後までご覧ください。

歯科衛生士の求人における「社会保険完備」とは?

歯科衛生士の求人票を見ていると、福利厚生の項目に「社会保険完備(社保完備)」と書かれた歯科医院を目にしますよね。
「そもそも社会保険ってなに?」「厚生年金と社会保険は、どのような関係にあるの?」と疑問をもたれている方もいらっしゃるかもしれません。

社会保険は、以下に挙げる4つがそれに該当します。

社会保険の種類

保険の名称 詳細
厚生年金保険 ・従業員が65歳以上になったときに、年金を受け取るための公的年金制度

・保険料は歯科医院と従業員の両者が負担する

健康保険(あるいは歯科医師国保) ・業務外で病気や怪我をした場合に、医療費の自己負担額が3割に軽減される公的医療保険制度

・保険料は歯科医院と従業員の両者が負担する

雇用保険 ・従業員が失業時、もしくは雇用継続困難になった場合に給付金を受け取れる保険制度

・保険料は歯科医院と従業員の両者が負担する

労災保険(労働者災害補償保険) ・業務上、もしくは通勤途中の事故で病気や怪我をした場合に本人や遺族に必要な保険給付を行う制度

・保険料は歯科医院が負担する

 

社会保険完備とは、上記で挙げた4つが揃っていることをいいます。
なお、これらとは別に、40歳以上の国民に加入が義務付けられる「介護保険制度」があることも覚えておきましょう。
この制度は、介護が必要と認定された場合に、介護サービスを受けられる保険制度で、保険料は歯科医院と従業員の両者が負担します。

「万が一の病気や怪我に備えたい」「仕事を失ったときにサポートを受けたい」とお考えの方は、社会保険完備の歯科医院を選びたいところです。

歯科医院における厚生年金への加入の現状

社会保険では、原則として歯科医院と従業員が保険料を折半します。
「負担額を増やしたくない」「書類の作成や申請などの業務工数を削減したい」などの理由から、社会保険が完備されている歯科医院の数は少ないのが現状です。

勤め先の候補となる歯科医院が、どの社会保険や任意保険に入っているかで、ご自身が加入できる社会保険も変わってきます。
厚生年金への加入を希望するのであれば、事前に病院の保険加入状況を調べておきましょう。

厚生年金と国民年金の負担額

年金制度は、すべての国民を対象とした「国民年金」と、従業員が国民年金に加入したうえで、別途納付する「厚生年金保険」の2種類に分かれています。
国民年金は、国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人に納付の義務があります。
そのため、「国民年金には加入せず、厚生年金のみを支払う」という選択はできません。

なお、国民年金では、原則として全員が同じ保険料を支払う仕組みになっていて、令和5年度時点における国民年金の保険料は一律で1万6,520円です。
一方で、厚生年金の保険料は、毎月の賃金に対する定率で納付額が決まる仕組みになっており、平成29年9月の引き上げ以降、保険料率は18.3%で固定されています。

関連記事「歯科衛生士の手取りはいくら?給与明細の内訳と収入アップの方法を解説

歯科医院と歯科衛生士の社会保険の加入条件とは?

厚生年金をはじめとした社会保険への加入条件は、事業所側と従業員側の双方にあります。
詳細は以下の通りです。

事業所側

会社の形態や業種・職種を問わず、法人は原則として社会保険への加入が義務付けられています。
社会保険の適用対象となる病院やクリニックなどの事業所を“適用事業所”といいますが、事業所の従業員数が5名に満たない場合には、これに含まれません。
ただし、従業員数が5名以下でも、半数以上が同意したうえで、事業主が申請すれば“任意適用事業所”と見なされ、社会保険への加入が可能です。

なお、適用事業所であるにもかかわらず、社会保険の加入手続きをとらない場合には、さまざまな罰則が用意されています。
過去2年に遡って保険料を追徴されるだけでなく、悪質と認定された場合には、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。

従業員側

適用事業所では、雇用形態や国籍、試用期間中であるかどうかを問わず、常時勤務している従業員は「被保険者」に該当します。
ただし、アルバイト・パートの従業員が被保険者になるには、以下で挙げる2つの条件のどちらかを満たさなければなりません。

アルバイト・パートの従業員が社会保険に加入するための条件

①     1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、事業所で同様の業務に従事している正社員の4分の3以上である
②     1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が正社員の4分の3未満でも、以下の条件をすべて満たしている

・週の所定労働時間が20時間以上である

・見込み雇用期間が2か月以上である

・月額賃金が8万8,000円以上(年収106万円以上)である

・学生ではない

・従業員が101名以上である

※法改正により、2024年10月に加入条件の適用範囲が「従業員が51名以上」に拡大される

 

歯科衛生士として働くにあたり、アルバイト・パートでの雇用形態を希望されているのであれば、上記の加入条件を押さえておきましょう。

社会保険完備の求人を選ぶメリット・デメリット

本記事ですでにお伝えしたように、社会保険完備の歯科医院の数は限られています。
では、「福利厚生が充実していない歯科医院はよくないのかな?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、必ずしもそうとはいえません。
ここからは、歯科衛生士として働くにあたり、社会保険完備の求人を選ぶ主なメリット・デメリットを紹介します。

メリット

社会保険では、労災保険を除き、保険料を歯科医院と従業員が折半します。
厚生年金も従業員の負担は半額ですので、経済的負担を抑えつつ、将来的にもらえる年金額を増やせるのは魅力的ですよね。
また、健康保険への加入によって、国民健康保険と同様に、病気や怪我で働けなくなった場合に備えられるのも嬉しいところです。

このように、金銭的ならびに医療的に手厚いサポートを受けられるのは、大きなメリットだといえます。

デメリット

社会保険に加入すると、厚生年金や健康保険、雇用保険などの保険料を支払わなければなりません。
保険料は歯科医院と従業員の折半とはいえ、それでも毎月数万円単位で給料から天引きされるので、手取りは少なくなります。
自由に使えるお金が減ることはデメリットだといえます。

働く歯科医院を選ぶ際は厚生年金などの社会保険が完備されているかどうかを確認しよう

いかがでしたでしょうか。

社会保険完備の歯科医院の数は限られています。
加入すれば、年金の受給額が増えたり、病気や怪我で働けなくなった場合に備えられたりするなどのメリットを享受できます。
しかし、保険料は給与から天引きされるので、そのぶん手取りが減ることは覚えておきましょう。
自己負担を抑えつつ、金銭的ならびに医療的にサポートを受けたいのであれば、社会保険完備もしくは最低限、厚生年金と健康保険に加入している職場を選ぶことをおすすめします。

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関連記事「女性歯科医師の働き方の現状と職場探しのポイントを解説

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監修者

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長谷麻央

株式会社ハーモニック キャリアアドバイザー

《略歴》

タレントマネージャーとして5年の経験を積んだ後、
看護師専門人材紹介コーディネーターとして13 年間務める。

2021年から現在にかけて、ハーモニックでキャリアアドバイザーとして多くの求職者に貢献中