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歯科衛生士の仕事内容・平均給与は?月収や年収の推移と目安を解説

2024/08/22 歯科衛生士の方向け
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歯科衛生士は、歯科医師の業務をサポートしたり予防処置や保健指導を行ったりする仕事です。歯科クリニックに欠かせない存在ですが、収入や年収が気になる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、歯科衛生士の仕事内容と平均給与、年齢による給与の推移について紹介します。歯科衛生士が給与を増やす方法についても紹介していますので、歯科衛生士を目指している方やキャリアパスを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

歯科衛生士とは

歯科衛生士は、歯科疾患の予防や口腔内の衛生向上を図ることを目的としてお口の健康をサポートする国家資格です。歯や口腔内のチェック、健康維持のためのアドバイスやケアを行います。

歯科衛生士には三代業務と呼ばれる仕事が定められています。三代業務の内容は次のとおりです。

  • (三大業務)歯科予防処置:歯垢・歯石の除去や口腔内のチェック等を行う
  • (三大業務)歯科診療補助:歯科医の診療を補助し、患者への対応を行う
  • (三大業務)歯科保健指導:患者ごとの状況を聞き取り、アドバイスを行う
  • 口腔機能訓練:高齢者などを中心に機能訓練・アドバイスを行う

歯科衛生士の勤務先は病院やクリニックが全体の半数以上を占めますが、福祉施設やメーカー、訪問歯科診療でも勤務できます。

医師の補助として診療をサポートしながら、患者さんの状況や困りごとの把握などコミュニケーションにもつとめます。歯垢や歯石の除去、薬の塗布や歯のクリーニングも歯科衛生士の重要な仕事です。

歯科予防処置・歯科診療補助・歯科保健指導は、歯科衛生士の三大業務ともいわれます。さらに、高齢者が多い福祉施設では、口腔内のチェックやケアのほかに機能訓練を実施します。

歯科助手との違い

歯科衛生士は歯科医師の医療行為を補助することができます。歯科助手も歯科衛生士と同じ環境で勤務しますが、医療行為に関わることはできません。

歯科衛生士と歯科助手の違いは次のとおりです。

職種 歯科衛生士 歯科助手
資格 国家資格 民間資格または不要
医療業務 医師の補助的な部分で可能 不可
仕事内容 歯科診療補助・歯科予防処置・歯科保健指導 医療業務以外の業務(受け付けや片付け、掃除など)
修業年数 3年 0〜1年程度

歯科衛生士は国家資格として、専門学校などで知識と技術を身につけ、国家資格に合格しなければなりません。

歯科助手には明確な資格の規定はなく、就業するにあたって資格の取得は必須ではありません。民間資格を取得することは可能で、有資格者や医療機関での事務経験が重視される場合もあります。

看護師との違い

歯科衛生士と看護師はどちらも国家資格の専門職です。医師が行う医療行為をサポートしながら、患者さんとのコミュニケーションも担当します。医療行為・患者さんに直接関われる点が二つの職業の共通点です。

歯科衛生士は歯科領域を担当する職業です。一方、看護師は診療科を問わず勤務することができます。

歯科衛生士と看護師の違いは次のとおりです。

職種 歯科衛生士 看護師
資格 国家資格 国家資格
医療業務 医師の補助的な部分で可能 医師の補助的な部分で可能
仕事内容 歯科診療補助・歯科予防処置・歯科保健指導 問診・点滴/駐車・与薬・食事/排尿介助・検温/脈拍や血圧測定・患者移送・座位訓練/体位交換
修業年数 3年 3〜5年

歯科衛生士・看護師はどちらも国家資格です。資格取得のためには中学校・高校を卒業して専門学校や大学で知識と技術を身につけ、その後国家資格に合格しなければなりません。

歯科衛生士は歯科治療を行う施設に勤務しますが、看護師は看護ケアを必要とする施設で働きます。看護師は看護をメインに行いますが、歯科衛生士は歯や口腔のケアが主な仕事です。

歯科衛生士の平均給与

歯科衛生士の平均給与について、時給・月収・年収・賞与(ボーナス)の4つに分けて確認していきましょう。

平均月収

正職員として勤務している歯科衛生士の平均月収は、クリニックや病院など勤務先により幅があります。

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、企業規模10人以上の勤務先では28万2,700円でした。(※1)また、厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」では、全国の歯科衛生士の平均給与は404.3万円(平均年齢37.8歳)でした。(※2)

※1参照元:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
※2参照元:厚生労働省職業情報提供サイトjobtag「歯科衛生士」

平均賞与(ボーナス)

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」では、賞与が43万2,300円となっています。賞与は多くの法人で年に2回支給されるため、1回あたりの支給額は21万6,150円という計算です。

ただし、賞与からも社会保険料や所得税が天引きになるため、手取りの金額は8割ほどになります。21万6,150円の総支給額であれば、17万2,920円が1回あたりの手取りの賞与になります。

平均年収

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」では、企業規模10人以上の勤務先では28万2,700円、賞与が43万2,300でした。

月収と賞与を足し合わせると382万4,700円となり、年収は約382万円となります。

他業種も含めた日本人の平均給与は457万6,000円(正規雇用者のみ)のため、他の業種と比較すると歯科衛生士の年収は低い傾向にあります。

関連記事「歯科衛生士は年収1,000万円を稼げる?給与アップに役立つポイントを紹介

平均時給

日本歯科衛生士会が発表した「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」によれば、歯科衛生士の勤務日数は1週間のうち5日が全体の67.6%ともっとも高い割合でした。(※)

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」で得られた平均の月収28万2,700円をもとに計算すると、平均時給は1,606円となります。

ただし、月収20万円で月に22日勤務するケースでは、平均時給は1,136円となります。給与を計算する場合は、月収だけではなく時給に換算して比較することも大切です。

※参照元:公益社団法人日本歯科衛生士会「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」

年齢による歯科衛生士の給与推移

歯科衛生士の給与は、年齢に応じて昇給の可能性があります。

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」では、歯科衛生士の2023年度の初任給は23万7,000円でした。地域や勤務先による違いがあることを踏まえても、初任給が20万円台で推移していることがわかります。

歯科衛生士として経験を重ねていくと、それに応じて昇給の可能性が出てきます。

年齢に応じた月給の推移は次のとおりです。

年齢 平均月収
20歳〜24歳 約23万円〜
25歳〜29歳 約25万円〜
30歳〜34歳 約27万円〜
35歳〜39歳 約28万円〜
40歳〜44歳 約28万円〜
45歳〜49歳 約30万円〜
50歳〜54歳 約32万円〜
55歳〜59歳 約30万円〜
60歳〜64歳 約30万円〜

※上記は目安です。

初任給は20万円程度、そこから年齢を重ねていくと数万円ずつアップしていくと考えられます。

金額は募集地域や勤務先、歯科衛生士の熟練度などによって変動します。また、賃金アップの動きや社会情勢の変化にも左右されるため、固定ではない点に注意が必要です。

職場ごとの歯科衛生士の給与相場

歯科衛生士は病院・クリニック、福祉施設や診療所などに勤務し、歯科診療をサポートしています。

ここからは、職場ごとの給与相場をみていきましょう。

勤務場所 勤務場所の詳細と期待できる給与相場
企業 オーラルケア製品を扱う企業のように、医療に関連した企業で働く。

専門性や熟練度が求められるが高額な給与が期待できる

行政 保健所や社会福祉施設などの行政施設で働く。

福利厚生が充実し、年収500万を超えるケースもある

養成機関 歯科衛生士の養成機関(専門学校など)

教職員として雇用されるため熟練度が求められるが給与も高め

大病院 複数の診療科を抱える総合病院や、大学に併設された大学病院など

経営状況が安定しやすいため、在職期間に応じて給与アップが期待できる

クリニック 一般の歯科クリニックや中規模以下の病院など

一般的な給与体系に準じ、地域によっては給与が低い場合もある

福祉施設 介護施設や地域包括支援センターなどで勤務する

行政や企業と比べて給与は高くないが就職口が多い

月収20万円台が歯科衛生士の給与の相場ですが、企業や行政に雇用されると一般のクリニックよりも高い給与が期待できます。

勤務先の経営状況や事業内容にもよりますが、ボーナスが一般のクリニックなどよりも高いと、年収アップが期待できるでしょう。

ただし、求人数の多さでいえば病院やクリニックがもっとも多く、採用人数が限られる高給な職種は経歴や熟練度が重視されるうえ、募集件数も限られています。

地域ごとの歯科衛生士の給与相場

厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によれば、10地域の平均給与と平均年齢は次のとおりです。

都道府県 賃金(年収) 平均年齢
東京都 473.8万円 41歳
大阪府 434.9万円 37.6歳
愛知県 471.3万円 36.9歳
神奈川県 408万円 36.9歳
兵庫県 374万円 37.8歳
福岡県 444.8万円 28.5歳
北海道 354.6万円 41.8歳
広島県 383.4万円 37.8歳
宮城県 333.8万円 37.7歳
千葉県 375.7万円 34.7歳

10地域では東京都の給与がもっとも高く、地方都市は400万円を下回っていることがわかります。

歯科衛生士が給与を増やす方法

歯科衛生士は自力で営業をかけたり仕事を受注したりすることができないため、給与を増やすには次のような工夫が必要です。

  • 資格を取得する
  • フリーランスになる
  • 転職する
  • 起業する

転職を繰り返して1つの職場での勤務年数が短い場合や、未経験者(歯科衛生士になったばかりの方)は給与が上がりにくい可能性があります。

ある程度の実績を積んだ場合は、資格の取得や起業といった方法で年収アップを目指すことができます。具体的な方法を確認していきましょう。

資格を取得する

転職や就職において、未経験者を雇ってくれる職場も少なくありませんが、有資格者ほど知識が武器になります。資格を一つでも多く保有していれば、それだけで高い向上心をアピールできます。

歯科衛生士が強みにできる資格は次のとおりです。

  • 日本歯周病学会認定歯科衛生士
  • 日本口腔インプラント学会認定歯科衛生士
  • 日本小児歯科学会認定歯科衛生士
  • 日本成人矯正歯科学会認定矯正歯科衛生士
  • ホワイトニングコーディネーター
  • 認知症サポーター

※上記は一例です。

日本歯周病学会や日本小児歯科学会のような学会が認定した歯科衛生士の資格は、専門性の高さがアピールできます。

歯周病治療に力を入れている職場では、学会認定の資格を保有しているだけで即戦力とされ、就職や転職に有利に働く可能性があるでしょう。

フリーランスになる

フリーランスとは、自身で勤務時間や給与を設定し、相手先に提示をして勤務する業務形態です。

業務内容は一般の歯科衛生士と変わりありませんが、フリーランスになることで無理のない働き方が可能になります。事前に給与と勤務日時を提示できるので、勤務先に合わせなくてはならない不自由さがありません。

歯科衛生士はフリーランスになることが難しいというイメージがありますが、歯科医院などの勤務先が了承すれば、フリーランスの歯科衛生士として雇用されます。

転職する

転職も給与アップに効果的な方法の一つです。少しでも高給な求人を選ぶか、急募している職場を探して応募することで、給与アップが期待できます。

今までの経歴や勤務実績を活用して転職するか、思い切って今までとは違った環境に挑戦するかといった違いはありますが、自分らしい働き方と待遇を求めるときには、転職が有効です。

起業する

フリーランスと同じく、歯科衛生士も起業が可能です。医師と同じ医療行為は行えませんが、歯科衛生士が対応できる範囲であれば、お口の中のケアや予防歯科のためのケアをサービスとして提供することができます。

起業にあたっては事業計画書の作成や事業の方向性・プランや予算の検討、どのように業務を拡大していくかといったビジョンも検討しなければなりません。

ホワイトニングサロンの開業や、クリニックと提携して業務を請け負うような方法が検討できますので、一つの働き方として検討してみてはいかがでしょうか。

歯科衛生士の仕事内容と年収を把握しておこう

今回は、歯科衛生士の仕事内容や歯科助手・看護師との違い、給与の相場と地域や職場ごとの給与について紹介しました。

歯科衛生士は歯科診療に欠かせない重要な職業です。福祉施設では他の医療従事者や専門職と協働してケアにあたることもあります。勤務先は病院をはじめ、企業や団体など幅広く選べます。

新しい働き方として起業やフリーランスの道も選べますが、より良い職場環境に転職することでも給与アップが期待できます。ぜひ自分らしい勤務環境を探してみてはいかがでしょうか。

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監修者

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長谷 麻央

株式会社ハーモニック キャリアアドバイザー

《略歴》

タレントマネージャーとして5年の経験を積んだ後、
看護師専門人材紹介コーディネーターとして13 年間務める。

2021年から現在にかけて、ハーモニックでキャリアアドバイザーとして多くの求職者に貢献中。