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歯科医師の平均年収は?性別・年齢・地域ごとの比較と年収が低い理由

2024/08/22 歯科衛生士の方向け
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歯科医師は、歯科の分野で活躍する医師です。予防歯科や簡易的な処置だけではなく、ホワイトニングのような審美歯科領域、外科的治療や他の診療科との連携をとるケースもあります。

医療行為を行う専門職ですが、月収や年収は勤務環境によって異なります。歯科衛生士が勤務場所を選ぶ際には、医師の年収も一つの指標になるでしょう。

この記事では、歯科医師の平均年収について紹介します。性別・地域・年齢ごとの比較や、開業医と勤務医の年収差や、歯科医師の年収が低くなる理由や年収を上げるポイントも取り上げていますので、ぜひ参考にしてください。

歯科医師の平均年収

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によれば、歯科医師の平均年収は次のとおりでした。(※)

  • 年収:925万円
  • 月収:69.5万円
  • 賞与:89万円

調査の結果年収は900万円を超えていることがわかりましたが、さらに細かく性別・年齢・地域ごとの比較をみていきましょう。

※参照元:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」

関連記事「歯科医師の本当の年収は?年収が高い歯科医師の特徴

性別ごとの比較

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」では、男性の歯科医師の平均年収は約1017万円、女性歯科医師の平均年収は約678万円でした。

男女の合計を平均すると約924万円ですが、男女別の調査では男性歯科医師のほうが女性歯科医師よりも年収が高いことがわかります。

ただし、歯科医師は男性のほうが多く、女性歯科医師の母数が少ないこと、男性歯科医師は20代の新米医師と熟練の医師では年収が異なるといった背景も考慮する必要があります。

年齢ごとの比較

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」の「医療・福祉」カテゴリーでは、次のように年齢別の賃金の増減率が示されました。

20〜24歳 236.8万円
25〜29歳 273.5万円
30〜34歳 299.0万円
35〜39歳 330.7万円
40〜44歳 366.8万円
45〜49歳 378.2万円
50〜54歳 418万円
55〜59歳 447.7万円
60〜64歳 431.9万円
65〜69歳 433.3万円

調査からは、20代がもっとも年収が低く、年齢に応じて年収が高くなっていくことがわかります。

※医療・福祉のカテゴリーは福祉施設の勤務者なども含まれています。上記は歯科医師の年収のみを示したものではありません。

地域ごとの比較

都道府県ごとに明確な年収の違いはありませんが、都市部では大病院や専門病院が充実し、熟練の歯科医師が雇用されるなど、給与待遇の条件が整っている求人がみられます。

一方、地方の求人は小規模なクリニックの求人が多く、開業医がいるクリニックで勤務医として雇用されるケースもみられるため、大病院に比べて年収が低い場合があります。

開業医と勤務医の年収差

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」では、男女をあわせた歯科医師(勤務医)の平均年収は約924万円でした。

開業医については、開業からの年数や立地条件、経営状況によって年収に差があるとみられます。医療法人の病院長は年収1,000万を超えますが、開業して間もない場合は年収が低いこともあります。

歯科医師の年収が低い理由

歯科医師の年収が低いとされる理由は次のとおりです。

  • 市場における競争が激化しているため
  • 医療費が削減されているため
  • 保険料が低いため
  • 勤務時間が制約されているため
  • 経営スキルが不足しているため
  • 新しい技術や治療法への対応に追いつけないため

歯科クリニックの数や医療費・保険料の問題など、いくつかの理由が考えられます。なかには複合的な理由で年収に繋がらない場合もあります。

ここからは、それぞれの理由を詳しくみていきましょう。

①市場における競争が激化しているため

日本国内では、歯科医師の数が増えるとともに歯科医院の数も増加傾向にありました。

しかし、株式会社帝国データバンクの調査によれば、2024年1月から6月までに廃業・倒産した歯科医院は2000年以降もっとも多い104件(2023年度)に次いで85件を数えました。(※)

医師と医院の数が増えても、十分な患者数を確保できないために、市場での競争はさらに激化していると考えられます。競争が激しくなるほど、自費診療だけでは患者を集められず、収入の不安定化や年収低下につながると考えられます。

※参照元:帝国データバンク「「歯医者」の倒産・廃業、前年から倍増ペース」

②医療費が削減されているため

歯科診療は、ホワイトニングのような審美歯科や矯正治療・インプラントといった自費診療以外は保険適用となるケースが多く、保険料が低いために1回あたりの収入が低く抑えられ、歯科医師が十分な報酬を得にくくなっている可能性があります。

また、厚生労働省では医療費の適正化に向けた取り組みを進めています。歯科診療にかかる医療費が過大にならないために、「国民皆歯科健診」として2022年6月より「生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)の具体的な検討」が予算編成の方針に盛り込まれました。

定期的な健診や予防歯科の取り組みにより、症状の重篤化と治療の長期化を抑制する動きが出ていることからも、今後さらに医療費の削減を念頭に置いた取り組みが進むと考えられます。

③保険料が低いため

医療費を低減させる方策は、歯科診療を受ける患者さんだけではなく歯科医師にも及びます。

医療費を抑制すると、通常の健康保険診療では十分な収入に繋がりにくくなり、歯科医師の収入減に繋がる可能性があるのです。

④勤務時間が制約されているため

歯科医師は開業医・勤務医ともに残業をすることがあります。特に開業医は経営も自身で行わなくてはならないため、業務の効率化が課題になります。

しかし、2018年6月に「働き方改革関連法案」が成立したことで、医療機関における時間外労働の上限が設けられました。歯科医院では、歯科衛生士や歯科技工士、歯科助手といったスタッフの時間外労働時間の制限に加えて、有給休暇の取得も義務付けられました。

スタッフが時間外労働を制限されるために、歯科医院の生産性が低下し、それによって年収に影響を与える可能性があります。ただし、法律に違反してまで時間外労働を強いると罰則の対象となり、退職者が増えるリスクもあるため、法律に違反しないように業務を回していく必要があります。

⑤経営スキルが不足しているため

歯科医師は歯科診療を担当しますが、開業医には経営スキルも求められます。診療時間が限られるなかで効率的に経営を行う必要がありますが、経営スキルを一度に身につけることは簡単ではありません。

そのため、経営上の課題に対応しきれず、結果として年収アップに繋がりづらくなるおそれがあります。

⑥新しい技術や治療法への対応に追いつけないため

歯科診療分野の技術は日々向上しています。新しい治療法や技術に適応するためには医師自身が学習と鍛錬を積まなくてはなりませんが、業務に追われて思うように適応できず、競争力や生産性の低下を招く場合があります。

歯科医師が年収を上げる方法

歯科医師が年収を上げる方法として挙げられるポイントは次の4点です。

  • 専門性の高いサービスの提供
  • 自由診療の提供
  • 勉強会や研究活動への参加
  • 副業の実施

ここからは4つのポイントを確認していきましょう。

専門性の高いサービスの提供

一般歯科診療に加えて、小児歯科・矯正歯科・審美歯科といった専門性の高いサービスを提供する方法です。

来院する患者さんのニーズを踏まえて、他院にはないサービスを提供することで、差別化を図ることができます。

歯肉のマッサージや口腔内細菌検査といったオリジナリティの高いメニューのほかにも、訪問歯科診療のように外部の福祉施設との協働、歯肉移植のような外科的治療を取り入れることもできます。

自由診療の提供

自由診療とは、保険適用の対象外と位置づけられている診療のことです。

歯のクリーニングやホワイトニングといった予防・審美の治療、矯正治療や高機能の補綴物の導入によって、治療の選択肢を増やし、収入アップにも繋げることができます。

勉強会や研究活動への参加

現状からさらに専門性を高めて他院と差別化し、スキルの向上による年収アップを目指すためには、勉強会や学会・研究活動への参加が重要です。最新の知識や技術を知るためにも、学習や鍛錬は欠かせない要素です。

副業の実施

歯科医師が副業として取り組めるものには、講演会やセミナーの開催、書籍やコラムの執筆、その他外部の企業や団体との協業などが挙げられます。

歯科医師としての実績や知識、経験を活かして活動を行うことができます。

歯科医師の年収が低くなる理由を理解し対策をしよう

今回は、歯科医師の平均年収と年収が低い理由、年収を上げるためのポイントについて紹介しました。

歯科医師は開業医・勤務医ともに数が多く、競争率の高い職業です。開業医には経営スキルが求められ、法律の遵守といった制限も加わるため、思うように年収が上がらない可能性もあります。

年収を上げるための試みとしては専門性の高いメニューの導入や副業の開始、新しい技術や機器の導入によって経営を効率化する取り組みも有効です。

医院によって課題が異なるため、年収を上げるためのアプローチ方法はさまざまです。まずはできるところから年収を上げる工夫を始めてみてはいかがでしょうか。

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監修者

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長谷 麻央

株式会社ハーモニック キャリアアドバイザー

《略歴》

タレントマネージャーとして5年の経験を積んだ後、
看護師専門人材紹介コーディネーターとして13 年間務める。

2021年から現在にかけて、ハーモニックでキャリアアドバイザーとして多くの求職者に貢献中。