歯科衛生士は、歯科医師の診療をサポートしながら、患者さんにも口腔ケアやブラッシングの指導を行う仕事です。
小さなお子さんから高齢の患者さんまで、幅広いケアに携わる仕事ですが、実際に働いている歯科衛生士の年齢や、就業にあたっての年齢制限が気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、歯科衛生士の平均年齢と年齢制限について紹介しています。ブランクがある方が復職する際の準備方法も取り上げていますので、ぜひ参考にしてください。
歯科衛生士の平均年齢
厚生労働省が2021年に発表した「賃金構造基本統計調査」によると、正職員である歯科衛生士の平均年齢は35.5歳でした。(※1)
公益社団法人日本歯科衛生会の「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」では、8,932人の回答者のうち、50歳以上が47.1%と、全体の5割弱を占める結果となりました。(※2)
以上の結果から、就業者の平均年齢は35.5歳となっていますが、全体では20〜60代までの幅広い世代が現役として活躍していることがわかりました。
近年では復職に力を入れているクリニックや病院が増えてきており、出産・子育て・介護といったライフイベントを経た歯科衛生士を再就職するケースも多く見られます。
また、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」では、平成11年と令和元年の回答者の年齢構成に次のような違いが見られました。
【賃金構造基本統計調査・回答者の年齢構成】
年度 | 回答者の年代(歳) | ||||||
平成11年 | 20〜24 | 25〜29 | 30〜34 | 35〜39 | 40〜44 | 45〜49 | 50〜 |
割合(%) | 14.6 | 15.7 | 17.6 | 17.5 | 14.6 | 10.7 | 9.0 |
令和元年 | 20〜24 | 25〜29 | 30〜34 | 35〜39 | 40〜44 | 45〜49 | 50〜 |
割合(%) | 5.1 | 5.9 | 6.5 | 8.5 | 10.9 | 15.1 | 47.1 |
平成11年に20〜24歳では14.6%、40〜44歳の割合に違いはありませんでしたが、令和元年には5.1%と10.9%に開きが出ています。50歳以上だけではなく、40代以降の歯科衛生士の数も増えていることがわかります。
※1参照元:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
※2参照元:公益社団法人日本歯科衛生会「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」
歯科衛生士に年齢制限はある?
歯科衛生士には、資格取得時に所定の学校を卒業している(入学の要件や年齢を満たしている)必要がありますが、それ以外の年齢制限はありません。
歯科衛生士の資格を取得するためには、国が指定する歯科衛生士養成校を卒業していなければなりません。
養成校とは歯科衛生士専門学校などを指します。入学に年齢制限がない養成校もありますが、「高等学校卒業(卒業見込み)の者」と入学時の年齢に制限が設けられている場合があります。
独学も含め、歯科衛生士を目指して勉強するだけであれば、年齢制限はありません。また、国家試験に合格し、歯科衛生士となってからは、免許返納の義務や定年の制度はありません。
基本的に、50代以降も現役として活躍できることが歯科衛生士のメリットです。ライフイベントや病気、ケガの療養を終えたあとでも復職できます。
ブランクのある歯科衛生士が行いたい準備
ブランクのある歯科衛生士が行いたい準備は、次のような内容です。
- 独学で本や教科書で復習する
- 復職セミナーに参加する
- 模型を使って練習する
- SNSやYouTubeでトレンドを学習する
- 教育制度が整っている歯科医院で働く
独学で学び直す方法のほかにも、セミナーや教育制度といった第三者の支援やイベントを活用する方法もあります。
ここからは、ブランク後の復職に向けた準備について確認しましょう。
独学で本や教科書で復習する
ブランク期間中も、育児や介護といったライフイベントに忙しい方は、セミナーやイベントに足を運びにくいかもしれません。そこで、手軽にできる方法として独学(自主学習)がおすすめです。
業務の手順や要領を思い出すために、復習は有効な方法です。養成校時代に学んだ教科書・テキスト・プリントを活用したり、月刊誌やその他の書籍を読んだりして、感覚を取り戻すことができます。
現職のときに過去に経験したミスを思い出し、対策方法を書き出すことも有効です。新しい話題は歯科衛生士向けのメディアサイトや信頼できる媒体からのお知らせ、月刊誌も学び直しに有効です。
教科書や書籍を使う方法は自分のペースで学習を進められますが、自宅などでの学習習慣を身につけるのが大変という方もいるかもしれません。その場合は、図書館や公的施設の学習スペース、コワーキングスペースやコラーニングスペースといった、自宅以外の学習スペースに移動して学習する方法もあります。
効率的に復習を進めるには、書籍と動画を組み合わせるなど、複数の学習方法を活用することも効果的です。動画サイトで歯科衛生士の復職を検索し、覚え直したい分野の動画をチェックします。文字情報だけでなく、実際に手指を動かしている動画を参考にして、復職に向けたイメージトレーニングを行いましょう。
復職セミナーに参加する
復職セミナーとは、歯科衛生士が復職するためにスケーリングや研磨といった実習を含めた復習の機会を設けた研修イベントです。
ブランクが空いてしまうと、コミュニケーションや技術がうまくこなせるか不安に感じることがあります。復職に自信がなく、元の職場になかなか復帰できない、何年も経過してしまったといったケースも考えられます。日本歯科医師会や歯科衛生士会では、そのような方のために「復職支援」として、知識や技術が学べる研修会を主催しています。(※)
研修会では、座学や講演に加えて模型を使った復習やプロの講師への質疑応答、直接レクチャーが受けられるコーナーが用意されています。実際の参加者とともに、コミュニケーションスキルやチーム医療、連携方法といった対人スキルも学べます。書籍や動画だけでは理解できない内容を体験できるため、実践的に学び直したい方に適しています。
※参照元:日本歯科医師会「歯科衛生士の復職支援事業」
https://www.jda.or.jp/return-to-work/
模型を使って練習する
技術面のリスキリングには、模型による学習が効果的です。実際に患者さんを担当するときのように、模型を使ってケアの練習を行いましょう。
自身で模型を持っている場合はそれを使用できますが、持っていなくてもセミナーや研修会で実技の時間に模型を使ったトレーニングができます。
SNSやYouTubeでトレンドを学習する
SNSでは現職やブランクのある歯科衛生士による口コミを確認できます。悩みを共有したり、研修会や学習方法をシェアしたりと、仲間とのブラッシュアップから学習のモチベーションが向上するかもしれません。
インターネットでは歯科医師会、歯科衛生士会のWebサイトをはじめ、各団体や地方のWebサイトから情報がチェックできます。YouTubeをはじめとする動画サイトでも歯科治療にかかわるトレンドや情報を手に入れられます。
教育制度が整っている歯科医院で働く
独学やセミナー参加によって一定のリスキリングはできるものの、不安感が拭えない方もいるかもしれません。復職の際に少しでも安心できる環境で技術力を活かせるように、教育制度が整っている歯科医院を確認しましょう。
たとえば、ブランクがある方をいきなり治療の現場に出すのではなく、歯科助手業務から慣れられるように考慮してくれる職場は、少しずつ現場に慣れていきたい方に適しています。歯科医師会や歯科衛生士会の方針に沿って、復職や再就職支援の方向性に賛同している職場を探しましょう。
理想的な職場が見つからない場合は、各都道府県の歯科医師会が実施する就職先の紹介や復職支援事業をチェックしてみてください。就職ガイダンスの案内や求人の取り扱い、雇用継続セミナーの開催といった、仕事につながる支援事業を主催しています。
歯科衛生士は30代以上でも働きやすい職業
今回は、歯科衛生士の平均年齢やブランクがある場合の対応方法について紹介しました。
ブランク期間中も勉強やスキルの維持は可能です。医療現場に復帰することが難しくても、学び直しの機会と捉えて、復職を視野に入れながら学習する姿勢が大切です。
ブランク期間中は教科書以外にも動画やセミナーへの参加といったさまざまな方法が選べるので、自分に合う方法を選び、組み合わせてみてください。復職の際には、ブランクも含めた経歴やスキルを考慮してくれる職場をチェックしましょう。
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監修者
長谷 麻央
株式会社ハーモニック キャリアアドバイザー
《略歴》
タレントマネージャーとして5年の経験を積んだ後、
看護師専門人材紹介コーディネーターとして13 年間務める。
2021年から現在にかけて、ハーモニックでキャリアアドバイザーとして多くの求職者に貢献中。